寝る前に日記を書くのは、私にはちょっと遅かった
つぶやき日記編集部 · 日々の使い方を描いた創作エッセイ

今日、何があったっけ。
歯を磨いて、充電器を挿して、そろそろ寝ようというところで日記を開く。さて、今日のことを書こう。そう思った瞬間に、頭の中が妙に静かになる。
何もなかったわけではない。昼休みに笑ったし、夕方には少し腹が立った。帰り道で考えていたこともあったはず。でも、今いちばんはっきりしているのは「眠い」だけ。
この状態から一日を思い出して、順番に並べて、文章にする。日記を書く前に、もうひと仕事ある感じがする。
帰り道なら、まだ言葉がある
たとえば、電車に乗る少し前。さっきまで話していたことが、まだ頭に残っている。
「説明はうまくできなかったけど、ちゃんと聞いてもらえてうれしかった。」
これなら書ける。出来事の始まりから説明しなくても、自分には何のことかわかる。誰かに読んでもらう文章なら足したくなる前置きも、ここではいらない。
つぶやき日記のタイムラインには、こういう短い言葉を一件ずつ残せる。次の記録ができたら、また別の一件として書く。寝る前に全部をまとめる代わりに、そのときの言葉を置いておく。
昼は楽しかった。夕方は疲れた。
昼休みの記録は「笑いすぎて、食べるのが遅くなった」。夕方の記録は「予定が変わって、今日はもう考えたくない」。同じ日のことなのに、ずいぶん違う。
一日をひとつの日記にしようとすると、最後に何か結論を付けたくなる。「いろいろあったけど、いい日だった」とか。でも、いい日だったかどうかは、まだわからない。
短い記録を分けておけば、楽しかった時間も疲れた時間も、そのまま並べられる。どちらかを消して帳尻を合わせなくていい。
読み返したいのは、立派な一日ではなくて
あとでカレンダーからその日を開いたとき、何を書いたか思い出せないくらいの短文がある。「お昼のスープ、また食べたい」。たったそれだけ。
スープの味より先に、一緒に座っていた席や、窓の近くが少し寒かったことを思い出すかもしれない。記録したときには重要だと思っていなかったことが、読み返す入り口になる。
毎回そうなるとは限らないし、「眠い」としか書いていない日もある。それはそれで、その日の自分らしい。
夜に完成させなくてもいい
寝る前には、書き足したいことがあれば書く。何もなければ、そのまま閉じる。今日をきれいにまとめるためではなく、今日の途中で出てきた言葉を残すために使う。
日記を開くタイミングを変えてみたいなら、まずは帰り道に一件だけ。「今、何が頭に残っている?」と聞いて、その答えを短く置いておく。
それで今日の日記が終わっても、たぶん困らない。眠くなる前の自分が、もう少しだけ書いてくれているから。